無意確認生命体

そして現在。

その日のお昼を少し回ったところである。

「ねー。しぶちん。これって粉これくらい?」

「知らないよ! 私だって育児の経験なんてないってゆってんじゃん! 缶に書いてたりしないの? それか、従姉妹のお姉さんから何か聞いてたり、メモとかもらってないの?」

「あー! そういやもらった! んー。じゃ、ちょっと待ってて~」


コ……コイツは……。


もしかして、美智ひとりだったら命が危なかったっていうのも、あながち冗談とも言い切れなかったんじゃないか?

ぞっとしない話だ。

将来出来るかもしれない美智のお子さんに同情するよ。

……もしかして、その時にもたびたび駆り出されるんだろうか、私は。


そんなわけで、四苦八苦・七転八倒・右往左往しつつ、なんとか有樹ちゃんを寝かしつけた私たち(主に私)は、ようやっと一息つくことができた。


――ちなみに、有樹ちゃんは男の子だった。

私は彼のおしめを替えるとき、初めてあんなにはっきりと男の子のアレを見てしまった。


美智は何故か嬉しそうにソレを指で触っていたが。


ヒトがうんちを世話してる間に、何やってんだコイツは。

とりあえず、はっ倒してやった。



「あー! 疲れた! あたしゃ、子供なんかいらんぞー! ……あ! そぅだ、しぶちん! アンタあたしの代わりに産んで。その子、あたしがめっちゃ可愛がったげるから!」

前後で言ってることが矛盾してるぞ。

それはつまり、育児はいやでもヒトの子ならオモチャ代わりにして遊びたいってことか?

「駄目。もし子供出来ても、アンタにゃ絶対触らせないから」


ううう。言ってて虚しくなる。

空々しいな、私。

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