無意確認生命体
だが、当の私はこの通り、彼女が望むようなオシャレやらに全然関心がない。
そういったものに必要性を感じていないのだ。
だって私と言う人間がいくら着飾ったり、キレイに見せたところで、何の意味もないのだと言うことを理解してしまっているんだから。
むしろ、そんなふうに自己主張してしまうのは、本当は私にとって困ることだった。
だから、美智がいくら熱心になってくれたところで、私にとっては今日も今日とて、のれんに腕押しなのであった。
だけどそれでも私は、美智のこの世話焼き自体は嫌いじゃない。
彼女が私にしている事は、『少しでも雌舞希が光って見えるようにしよう』だとか、『色々なことに楽しみを持って触れられる人間になってもらおう』といった、私からしてみればマイナスにしか働かないものばかりだ。
でも、長年の付き合いから私はよく知っている。
美智が私に向けてくれる、こういった親切には何の邪心も含まれていないことを。
コンプレックスの捌け口とされているのは事実だけれど、それは私たちが思春期を迎え、いわゆる"お年頃"になってからの話だ。
彼女が私に対して過保護なのは、まさしく"今に始まったことじゃない"。
美智がただ純粋に私を想って、それが私のプラスになると信じてやってくれているのがわかるから、私はこのお節介がむしろ嬉しかった。
……こんな私でも、たとえ美智のお人形さん代わりとしてでも役に立てるのなら、それは光栄なことだと思えた。