無意確認生命体
「ん、まーそれはいいんだよ。ちょっと話し逸れちゃったけど、とにかく、そのドードーだっけ?」
「とーどー、ね」
「なんでもいいや。そいつが万一絡んできたら、ハルミ頼ればいい。そういうの放っといてまで、猫かぶるような奴じゃないからさ。――あ、それとツジも呼べば、これでもう無敵だな! よし、これで安心だ」
「ぷっ! ……そうだね。それなら確かに。もう無敵だよ」
「さ、問題解決したトコで、始めんぞ。もうじき梅雨入りだからな。色々と準備せんといかんのだ」
「は! 部長、では指示を願います」
――やっぱり、志田と話していると、どんなに不安な心境でも、安心させられる……。
毒を抜かれてしまう。
東堂のことにしたって、ホントにもうどうでもいい、大した問題じゃないような、そんな気分にさせられてしまっている。
まるで、他人事であるかのように。
これは何故なんだろうか。
これが、本当に美智の言う、"好意"なのか?
世間一般の人間が言う、"好き"とかいう感情にあたるものなんだろうか。
果たして、私がそういう尺度で男性を見ることが可能なんだろうか?
……わからない。
第一、私という存在が、男性に対してそのような感情を持つ意味が、どこにある?
……答えが、見つからない。
私には、この志田に対する思いが、一般に異性に抱く、"好意"と同じものだとは、どうしても思えなかった。
確かに限りなく、それに近い感情ではあるとは思う。
……もう否定するつもりもない。
私は志田にかなりの関心――干渉したいという思いを抱いている。
だけど同時に、私にそのような情感が働くはずがないという確証があるというのも確かだった。
"好き"という感情に、限りなく近く、この上なく遠い。
私は依然として、この"思い"の答えを見出すことができなかった。