無意確認生命体

「わ! ご、ごめん、おばぁ。朝、作らせちゃったみたいだね」

「何言ってんの、しぃちゃん。いいよ朝風呂ぐらいで謝らなくても。年頃の子はそういうの、みんなやってるんだろう? 渋川さんとこの千代ちゃんも、毎日朝はお風呂入ってから学校行くって言ってたよ」

「いや、でも私はいつも入らないしさ」

「おんなじだよ。しぃちゃんだって年頃の女の子には違いないんだから。今日ぐらい、いいでしょ?」

「う~ん。だって朝ご飯は私が作るってことになってるじゃん」

「そんなの別に決まってるわけじゃないんだから」

「でもいつもはそうだし……」

「それともなぁに? 朝からおばぁが作るご飯は食べられないの?」

「う。……そういう言い方、卑怯だな」

「ふふふ。さ、じゃあ早く食べて。学校遅れるよ?」

「……うん。ありがとね、おばぁ。いただきます」



私が荒ぶる寝癖様を鎮めるため、シャンプーで頭をわしわしとやっていた20分程のあいだに、おばぁは起きてきて朝ご飯の支度をしてくれていたみたいだった。

何故だかよくわからないが、おばぁは私が朝シャンしたことに対して、妙に嬉しそうにしていた。


なんだろう。

おばぁも私に"年頃の女の子"らしい振る舞いをしてもらいたいなんて思っているのだろうか。



……それとも、今日が6月4日だから、だろうか。



……ってゆうか千代さんって、大学生じゃなかったか?

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