無意確認生命体
――と、そんなこと考えてる余裕はなかったのだ。
今日はいつもより20分も朝の時間をロスしてしまっている。
いつもの調子でのんびりとしてたら、遅刻してしまうじゃないか。
それに気付くと私は、せっかくおばぁが作ってくれたありがたい朝食を味わうことも出来ず、急いで掻き込んで、出かける身支度を調え始める。
「あ~、しぃちゃん。今日お昼から、雨降るんだって」
おばぁがテレビの天気予報を見ながら忙しなく支度をしていた私に教えてくれる。
「あ! そか。じゃあ折りたたみのヤツ持ってく」
そう言って、部屋の壁掛けにぶら下げてあるそれを鞄に詰めた。
鞄良し。
制服良し。
その他、問題なし。
「よし! じゃ、いってきます!」
「あぁ、いってらっしゃい」
そうして駆け足で家を後にした。
時刻は7時56分。後から考えれば、この時刻なら走って家を出る必要はなかった。
でも、私はこの時そうとう慌てていた。
そんなコトには全く気づけず、学校までの下り坂を全力で駆け抜けてしまっていたのだった。