無意確認生命体

「お。起きたか?」

目覚めてみると、ベッド横に置いてあるパイプ椅子に、思ってもない奴が座っていて、なにやら本を読んでいた。

「――え……。ぅえっ! 志田!?」

私はそいつの名を声に出しながら、ガバッと上半身を起こした。

志田は読んでいた本を閉じると、

「やー、休み時間のあいだには起きんかと思った。あ、寝癖」

なんていつもの調子で言った。

「さっきまで、なんかすげー暴れてたからさー。一体どんな悪夢見てんだって思ったけど、保健医が言うには、キミ、いっつもあんな感じらしいな。そうとう寝相悪いぞ」

「え? あ、うん。……じゃなくって、あれ、えっと……あれ? ……なんで、志田がここにいるの?」

「ん? なんで? ……あ、あー! すまん。ツジとふたりで見舞いだよ。昼飯食いにB組行ったら、ツジが雌舞希ぶっ倒れたって言うからさ。ここにふたりで来て飯食ってたワケ。……あ、そうそう。ここの保健医って女の人なんだな。オレ医者は男ってイメージだったから、最初に見たとき、ちょっとびっくりした」


普通保健室の先生は女の人って気がするけど……。


いや、そんなことより――。

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