無意確認生命体
「え! ってことは、もう今昼休みなの?」
「んあ? そうだよ。――なんだ雌舞希、今までずーっと眠りっぱなしだったのか?」
「う……うん。なんか、そうみたい。――あれ、それで美智は? 一緒だったんじゃないの?」
「ん? あれ。そういやいないな。トイレでも行ったかな? オレ、本読んでたから気付かんかった」
「先生は?」
「それもいないみたいだな。あれー? ついさっきまでココで一緒にいたんだけどなー」
相変わらずボケッとした調子の志田。
「ま、昼休み終わるまでには戻ってくるだろ。それより調子どうだ? 大丈夫か? 聞いた話じゃ、朝から汗だくの真っ青な顔で学校来て、教室でぶっ倒れそうになったとかって。なんだ? また親戚が来るのか?」
「あはは。今日は違う。ホントにただの体調不良。まだちょっとボーッとするけど、もう平気。……ごめん。後先考えないで無理して、美智や浅瀬さんに、みんなに……心配かけちゃったね」
「ん。まー、そういう日もあるわな。なに? ハルミとかツジがそんなふうに思ってるって?」
「そんなこと考えてないよ! でも、私なんかのために、迷惑かけたのは事実だし」
「んー? それってつまり、考えてたってコトじゃん。いーんだよ、んなコト気にせんでも。アイツらが勝手に自分の気を晴らすために世話焼いた、ぐらいに思っとけば」
「はぁ? 何言ってんの! そんなんじゃないよ! ヒトの厚意、そんなふうにねじ曲げて受け取るなんて失礼だよ!」
「そうは言ってもなー。情があったらソイツは勝手に心配すんだぞ。キミが気に病んだってしょうがないだろ。じゃあもし逆の立場だったら、雌舞希はアイツらのこと放っとくのか?」
「う……。それは……放っておけないけど」
「ほれ見ろ。たまたま今回は世話焼かれんのが雌舞希だったってだけだろ。気に病むぐらいなら、ありがたがってやれ。そのほうがアイツらも報われるってもんだ」