無意確認生命体

……私だって、そんなことはわかってる。


自分が他の心配をするのはいい。

でも、自分が他に心配されるのはイヤだ


……こんなの……自分勝手な、ただのエゴだ。

でも、それでも、私はこんなふうに心配される資格はないんだ。

第一、今日の私の体調不良は自分のミスが招いた結果だ。

こんなの、私が勝手に自爆してるだけじゃないか。

……そんな私に、ありがたがる権利も資格も、あるはずがない。


「私には――そんなふうに割り切ること、出来ないよ」

「ふー。変なトコで強情ってゆうか、キマジメなんだなー。ま、雌舞希ならそう言うかと思ったけど。でも、キミのそういう考え方って、意味ないと思うぞ。オレは」

「……どういうこと?」

「んー。特にツジなんかは自分の都合で世話焼くタイプだからなー。相手の都合まで考えられるほど、器用な人間じゃないだろ。キミは誰に対してでもそうだけど、ツジにゃ特別、心労を掛けたくないって思っているらしい。そのクセ、何でかは知らんがあいつの意向には従おうとする。それだから話がややっこしくなるのさ。今日みたいな場合は特にな。あいつの意向っつーのは、今で言えば、キミの看病のことだろ? でも、キミはそれがアイツの心労にもつながるって言うんだ。キミのツジへのふたつの価値観がぶつかり合って、どうしようもなくなってるってワケだ。じゃあ、こういう時はどうすればいい? ……簡単な話だ。どっちか、ホントに大事な方だけ取って、もう片っぽは諦めろ。それで解決。相手に心配されず、キミは相手の意向を叶え続ける。そんなの無理だって。雌舞希は機械や道具なんかじゃないんだからな。ましてや、ツジ本人はキミのそんなややっこしい事情なんか知りもしないし、考えてもない。だから雌舞希も、そんなことで悩んだって、意味がないんだよ」

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