無意確認生命体
……私は志田が話すのを呆然と聞いていた。
私が朝からこれだけ悩んでいた問題に、それこそバカバカしいと言うかのように、明確な回答を突きつけてこられたからだ。
……やっぱり今日の私は間抜けだ……。
てんで見当違いなコト考えてた。
最初から、そういう捉え方をするべきだった。
誰かに心配掛けたくないって思うんなら、少しでもその誰かの気持ちを楽にしてあげられるように努力するコトが、私が一番初めに考えるべき問題だったんだ。
それなのに私は、心配される権利がないだとか、自分のミスが招いた結果だからとか、都合勝手なおこがましいコトばっかり考えてしまっていた。
馬鹿だ。そうじゃないか。美智が私の都合なんか、考えるわけがないじゃないか。
私が心配するなって言っても、あの子がそれを聞いてくれるはず、ないじゃないか。
そんなの、私が一番わかってるはずなのに……。
「そっか。……あはは。……ホントだ。それでよかったんだ……。はは……私、馬鹿だね。そんな簡単な答えに、志田に言われるまで……気付けないなんて」
「お。納得出来たか? よし。……そんじゃあ、雌舞希はどうすんだ?」
こいつは……。
そんなのあんたならわかりきってるくせに。
こんな簡単な選択でいいのなら、当然、答えは決まってる――
「私は、美智が……誰かが……私のために泣いてしまう姿を見るのが、一番イヤ、かな」
「うん。なら、それだけ見ればいい。他の余計なことは考えんな。ん、それいい判断だ。ツジにゃ丁度いい薬になる」
志田はやっぱりそれで私の言いたいことを汲み取れたらしく、満足そうに微笑んでくれた。