無意確認生命体

まずい。なんとかしなきゃ……。

「こ、困ります! 私のために美智がサボるなんて、そんなの納得出来ません」

なんのために美智をハメるようなマネをしたと思ってるんだ。

「わかってるわよ。そんなこと本当にさせるわけないでしょ? 間違って辻にサボりなんて覚えられたら、ただでさえギリギリな単位、間違いなく落としちゃいそうだしね。でもその代わり、今日はあたしが連れて帰ってあげるから安心なさい。それなら……ほら、あたしの置き傘があるから、これにふたりで入れば、雨が降ってもそんなに濡れないわよ」

先生はそう言って保健室の壁に立てかけてあった傘を手にとり、私に自慢げに見せつけた。



本当は、出来れば私なんかのためにこれ以上気苦労をかけたくなかったんだけど……、わざわざヒトが差し出してくれた親切を蹴ってまで自分のエゴを通す方がよっぽどワガママなことだっていうのは、さっき学んだばかりだ。

美智が授業をサボったりなんてことまでして私を構うことを思えば、これは最大の妥協点……といえるのかもしれない。


けっきょく私も美智もそれで納得し、はれて持田先生引率のもと、自宅まで送ってもらうことになったのであった。

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