無意確認生命体
「――あ、そうだ。おばぁ、誰か来てるの? 外にバイク駐めてあったけど」
持田先生を見送り、私は玄関前に駐車されていたバイクのことを思い出して、靴を脱ぎながらおばぁに振り返る。
「……うん。……ちょっとねぇ。あのね、しぃちゃん、大事な話があるんだよ」
おばぁは顔を曇らせ、俯きがちにそう答えた。
その様子を見て、私ははじめおじさんが来ているのかと思ったが、少し考えてすぐにそれは違うだろうと思い直した。
おじさんがここへ来るときには、いつも幅の広い、左ハンドルの高そうな車に乗っていた。
私も何度か乗せられたことがあったが、内装も見た目に劣らない高級感だった。
そんな人がいきなり、あんな安っぽいバイクには乗ってこないだろう。
……もっとも、私は自動車やバイクを見たって、どれが何の車種だとか区別がつくほど詳しくないから、あんまりアテにはならないのかもしれないけど。
居間の前まで来ると、中からおじぃと、その客人の声が聞こえてきた。
その瞬間――脳より先にまず耳が、ソイツが誰なのか、理解した。