無意確認生命体
ある日、私は母に寝かし付けられた後、夜中に声が聞こえるのに気が付いて、目を覚ましてしまったのだ。
父母が眠るはずの寝室から漏れ聞こえてくる、叫ぶ声と泣く声……。
片方は誰のものか、すぐにわかった。
いつも聞いていた、あのおっかない父の叫び声だった。
そして、もう片方の泣き声は、それまで私は泣いているのを見たことがなかったが、母のものに違いなかった。
私は母が父にいじめられて泣いてしまったのだと思い、様子を見に行くことにした。
そして寝室につながる襖の前まで行ってそこで立ち尽くした。
中からは父の叫ぶ声。
その声を聞くと幼い私は身がすくみ、襖をすぐに開くのが躊躇われたのだ。
そこで、音を立てないように戸にそっと手を掛け少しだけ引いて、そこから中の様子を覗き見たのだった。
――そうして私の目に飛び込んできたのは、父と母によって行われる、謎の「儀式」――。
ふたりとも全裸で。
父は叫びながら。
母は泣きながら。
お互いの身体の異なる部分を混ぜ合わせているらしかった。