無意確認生命体
私は泣いた。
ここまでして見に行かなかった私を……、母は明日、責めるのだろうか。
それなら、もし見に行って、中に踏み込んでしまっていたら、その時、母は私を責めなかったのだろうか。
いろんな事を考え、恐ろしさで泣いているうちに、いつの間にか私は眠ってしまったらしい。
次に気付いたときには、外が白んできていた。
私は夜が終わったことを知り、安堵した。
そして身を起こすと、すぐに父母がいる寝室へと向かった。
この時にも、まだ父の叫ぶ声と、母の泣く声は止んではいなかった。
でも、朝になったら『アレ』は必ず終わっているものなのだと思いこんでいた幼稚な私は、その声を聞いても、父が毎朝繰り返していた日課と同じものなのだろうと決めつけて、深く考えずに襖のすぐ前までやってきてしまった。
そして私が襖に手を掛けようとすると、それは向こう側から乱雑に開かれた。
目の前には父が立っていた。
父は私が目の前に立っているのを見て、少し驚いた顔をしたが、すぐに興味をなくして隣のトイレに入った。
私もそれには構わず、寝室へ入っていった。
すると、布団の中で母が泣いているのが見えた。
私は急いで母に駆け寄り、そして声を掛けた。
――そして。
そこで、母は死んでしまったのだ。