無意確認生命体

……だって、……それを認めてしまうってことは……。

お母さんが私の正体をひた隠しにし続けたのは、私のためなんかじゃなかったってことになってしまうから。


お母さん自身のために、私という「恥」を、自分以外に知られることがないよう、隠し通そうとしていたんだっていうことになってしまうから。


お母さんが私という存在を、全身全霊を尽くして、否定したがっていたんだってことになってしまうから……!



たったひとり。

私のすべてを知っていたお母さんでさえ……、

本当は、私を愛してなんかいなかったんだって……、

それを、認めることになってしまうから……!



それは私の、たったひとつの生きる意味の喪失。

私みたいなものでも愛してくれる人がいるという、かすかな希望が失われる、認めるわけにはいかない……現実。

……だから、気付かないふりを続けてきた。

だから、成長して、いろいろ知るうちに、自分の記憶に違和感があるのを感じても、決してそれを追求したりは出来なかった!

きっと本当は、私が父母に会うことを嫌がったのも……、出会ってしまえば、自分の安っぽいごまかしの記憶なんて、簡単にひっくり返されてしまうのを、心のどこかで、わかっていたからなんだ。

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