無意確認生命体
5月4日(火)
5.
ゴールデンウィークは何事もなく過ぎていった。
美智が言っていたような出会いなんてものは当然のようにあるわけもなく。
……もしかしたら柏木くんがそうだったのかもしれないが……。
休みも残すところ二日となった火曜日の午後、私は美智の家に遊びに来ていた。
美智はテニス部に所属していたので、今日しか休みがなかったのだ。
「ね、次コレ! 試してみよっか!」
「う~、もう好きにしてくれ~」
私は美智に頼まれて、この家に来る途中、本屋でヘアスタイル雑誌を買ってきた。
はじめ、私は、
"美智もこういうのを読んで色々研究してるんだな~"
ぐらいにしか思っていなかった。
だが、美智の部屋に案内されてから、私はこいつの本当の狙いを知るのだった。
美智はその雑誌に載っている中から私の髪の長さで出来そうな髪型を探し、私を実験台にして手当たり次第に再現しはじめたのだ。