無意確認生命体
そうして、おばぁのひと声から、この場はとりあえずお開きとなった。
帰る前にお父さんは、落ち着いて気持ちの整理をつけてから、後日改めて私と話しをしたいと持ちかけてきた。
私は、もうお父さんが危険な存在ではないっていうのを理解してしまっていたので、これ以上に何を話すことがあるのかわからなかったが、とりあえず差し出された連絡先を受け取った。
そしてお父さんは別れ際、私に謝りながら、もう一度「大きくなったな」と出会い頭の台詞を繰り返した。
真実を知り、改めて聞いたその声は、やっぱり大きくて、ぶっきらぼうで、無神経なものだったけれど、不器用な優しさも、確かに込められていたのだと今なら気付くことが出来た。