無意確認生命体
エピローグ
「……あっぢぃ……」
あまりの暑さで目が覚めた。
6月も末になり、セミの合唱がけたたましい目前に夏が迫った朝のことだ。
暑いのは当然と言えば当然なのだが……。
だからって、この暑さは異常だった。
"暑い"というか、これはもう熱がこもってしまって、"熱い"と表現した方が適当かもしれない。
周りを見渡してみる。
……と。そこで気付いた。
体が全く動かせない。
……当然である。
私の体は見事なまでにがっちりと拘束されてしまっていたのだから。
もちろんこれは例によって例のごとく、私が眠っているうちに誰かが忍び込んできて、全身を縄で縛ったとか、そんな猟奇的な話じゃない。
私の体を拘束していたのはいつも私が床についている、お馴染みの敷き布団くんだった。
……また、やってしまったようだ。
私は寝惚けて、自らを巻き寿司の具であるかのように、布団で巻いてしまっていたのだ。
ただでさえクソ暑い梅雨明け前のこの時期に、自ら進んで地獄を見に行くとは……。
寝ているときの私は、相変わらず修行熱心な奴である。
私は横に転がって、その布団呪縛を解く。