無意確認生命体
4月30日(金)
1.
「……さっ……ぶぅ」
あまりの寒さで目が覚めた。
4月も末と言っても朝はまだ結構冷える。
だからって布団に入っていて、ここまで寒いのはおかしい。
周りを見回してみる。
それで納得がいった。
……はは、そりゃあ寒いだろう。当たり前だ。
本来私がかぶっているはずの布団は、右側1m先で見事なまでに荒らされ、しわくちゃに丸まっていた。
あ~あ、どうやらまた私はやってしまったらしい。
もちろん、私が眠っているうちに誰かが忍び込んできて布団を引っぱがした、なんてわけじゃない。
私が自分で寝惚けてやってしまったのだ。
うぅ……、いつからこの状態だったんだろう。
体の凍え具合から言って2,30分前から、ってわけじゃなさそうだ。
まったく、これでよく風邪ひかないな。私。
「ぶぇっくしゅ!……あ~っ、寝相の悪さでなら県大会ぐらいいけるね。こりゃ。あははは」
わけのわからないことを呟きつつ、体を起こして時計を見る。
時刻は7時ちょい前。
うん、いつもよりちょっと早いくらいか。
この体内時計の正確さはありがたい。
立ち上がって伸びをする。
私は寝相がすこぶる悪いが、その分(?)寝起きは良いのだった。
おかげで今までに"二度寝"というものを経験したことはない。
カーテンをがばっと開ける。
この部屋の窓は東向きなので朝日が差し込んで眩しい。
……だけれども、今の凍えた体にはそれが心地よかった。
それから顔を洗いに洗面所へ行く。
洗面台の鏡に映る私の姿。
肩まで伸ばしたセミロングの髪は寝癖で見事なまでに荒れていた。
それを水で適当に濡らし落ち着かせ、ついでに顔も洗う。
前に一度、友人と髪の話をしたとき、私のこの寝癖の直し方を聞いて驚いていた。
「それじゃ髪が傷む」とか何とか言われたが、面倒くさいので未だに整髪料みたいなものは使っていない。
というか、そんなものを買う余裕なんてないのだ。