無意確認生命体
2年B組の教室に到着する。
まだ誰も来ていないようだった。
はぁ……。やっぱりちょっと早かったかな。
何でこんなに焦って来てしまったんだろう。
私は自分の席に座り、そんなことをボーッと考えていた。
5時を少しまわった頃、数人の男子が現れた。ぞろぞろと。一斉に。
その中央には、柏木くんも混じっていた。
二人の男子が廊下に出て扉の前に突っ立っている。
よく見れば、その一方は榎本くんだった。
この頃になるとさすがにこの場の異常さに私も気付いていた。
……よく考えてみろ。
私はこの場に早く来たと言っても、たかだか10分か、そこらだ。
前もって計画されていて、5時にイベントが始まるのなら、10分前の現場が無人なんて、あり得ないじゃないか。
その時点ですでにおかしかったんだ。
――あぁ、そうか。
もし虫の知らせというものが存在するのなら、今朝から感じていた、あの焦燥感こそがそれだったんだろう。
この場に集まった男たちの視線がすべて私に向けられていることに気付き、完全に悟る。
―――私は、こいつらに、ハメられたのだ。
連中の勝ち誇ったようににやけている顔をひとつずつ眺めながら、私は、
『あぁ、前に美智と見たアダルトビデオでこういうのあったなぁ』
……などと、バカなことを考えていた。