無意確認生命体
私はただ、それが悲しかった。
それでも私は、彼らの中に僅かであっても、理性が残っている事を望み、なるべく自然に口を開いた。
「ね、今日の親睦会っていつ始まるのかな?私、ちょっと早めについちゃったんだけど」
すると彼らは、馬鹿にしたようにげらげらと笑い出した。
「あー、ん~。そうねー、始まるのは……まぁこれから、かな。もうメンツは全部揃ってるし? やぁ~、わざわざ先に来て待っててくれるなんて思ってなかった。榎本、おまえ、巧いこと口説きおとしたなぁ!」
そう言ったのは柏木だった。
周りの連中はそれを聞いてまたげらげらと笑った。
なるほど。
どうやら冗談でも偶然でも、なんでもないらしい。
「――く、最低」
私は絞り出すように吐き捨てた。
駄目だ。もう諦めよう。
こいつらを人間と思って対応するのは。
馬鹿だった。私の馬鹿!
警戒を怠った。
同級生だから、クラスメイトだからなんて曖昧な理由で、「アイツ」とは違うと思い込んでいた。
「アイツ」が特殊なだけで、他の過半数の人は大丈夫なんだと、無意識に思い込んでしまっていたんだ。
――そうじゃないんだって。あれだけ言われていたのに。
……でも、待ってよ。
これって私のせいなの?
確かに今日の私の行動は少し軽率だったかもしれない。
でも、こんな狂った連中がクラスに七人!
七人だよ!?
そんなの誰が予想できるっていうの!?
それに、常識的に考えて、あり得ないじゃん! こんな状況!
『休日の夕方、無人の校舎。そこにまんまとおびき出される馬鹿女。同級生の男共は、網にかかった獲物を見てニンマリ舌なめずり。さ~て、体の親睦会の始まりだぁ~』
って、どこのエロ漫画だっつうの!
ここまで予期して行動しろっての?