無意確認生命体
8.
「……んぐ! いったぁ~……ううう……」
私は全身の痛みに耐えながらも、あの魔窟から逃れることに成功したと言う事実に、涙が出るほどの喜びと開放感と満足感と、とにかくとにかく、嬉しい感覚に満たされていた。
というか実際泣いていた。
沈みかけた夕日が、この偉業を成し遂げた私を祝福してくれている気がした。
だってもう、めちゃくちゃ怖かった!
あんな多人数の悪意ある人間に囲まれる経験なんて今まで無かったもの!
体だってボロボロだ。
窓から落ちるとき、ガラスの破片でそこらじゅう切れて傷だらけだし、落ちた瞬間の衝撃だって凄かった。
立ち上がるだけでもすっごく痛い。
下が花壇じゃなかったら、この程度ですんだかどうか……。
だけど、いつまでもここに止《とど》まるわけにはいかない。
もたもたしていてあいつらに追いつかれて連れ戻されたりしたら、それこそもうお終いだ。
とその時。
「おい!」
と、誰かに肩を掴まれた。
――瞬間、ぞわりと戦慄がはしる。
あれだけ用意周到に今日の「親睦会」を企てた連中だ。
外にも見張りをつけていない、なんて保証はどこにもない。