無意確認生命体
「なんか、言えないわけがありますってこと?」
「……明日、学校行けば、だいたいわかるよ」
「はぐらかすな! 今日、あたしのケータイに電話したよね? それと関係あり?」
う……けっこうきわどいところを……。
「あり、か。で、それ以上は言えない? ふむ。じゃあ、あたしが犯人当てて見せようか?」
美智はわざとおちゃらけた言い方をしてみせる。
「んー。そうだねー。例えば……、あ、そうだ! 柏木修!」
その名前をいきなり出された瞬間、意識すまいと思っていてもビクッと勝手に体が反応してしまった。
そして美智はそれを見逃してはくれなかった。
「ああ? マジ!? 柏木がやったのかコレ! あ、ああのやろおおおっ! 殺す! 明日! 朝殺す! 見つけたら即殺す!!」
「や。ち、ちがくって。この怪我はほんと自分で――」
「いい? 雌舞希。今日はうちに泊まってく事。明日はあたしと登校する! で、柏木発見次第即処刑! わかった? それと、制服はあたしの予備のヤツ着て行きな。あげるから。こんなボロボロじゃ、もう着れないしね。ああくそ! マジムカつく! 何をどうやったらココまでひどい怪我させられるわけ!? もしかして、無理矢理迫って来やがった? そんなクソ野郎だったのかあいつ! くそ! なんで気付かなかったんだろ。サイテーじゃん! 二人でお昼なんかさせるべきじゃなかったんだ! あたしの馬鹿!」
「やめて美智。アンタのせいじゃないってば。そういうこと言わないでよ」
「だって! だってさ!」
美智はいつの間にか涙目になっていた。
あぁ、これだから美智には知られたくなかったのだ。