無意確認生命体
13.
志田という男は、どうやら私を捜して職員室へ来たらしかった。
で、私を廊下に誘い、ぬけぬけと話し始めた。
「B組行ったらいなかったから、今日は休みかと思ったんだよ。だって、昨日の今日だろ? だから休むんじゃないかなー、って。でも、一応てきとうな奴つかまえて訊いてみたらさ、休んでないっつうからね、今まで探してた。ね、昨日のこれ。かんな~り、痛かったんだけど」
包帯を巻いた左手を示す志田。
なにを話すかと思えば本当にぬけぬけと。
なんだそりゃ!
そんなの自業自得だろこの野郎!
「昨日のこと、知ってるみたいだね。って当たり前か。先回りして嘘の証言までして。しかも自分はヒーロー気取り? ふざけないでよ! こんなんで逃れられると思ってるんなら浅はかもいいとこだね! ホントのこと全部暴露してやるから! せいぜい停学程度ですむのを祈ってなよ。まぁ私はそんなんじゃ全然収まりつかないけどね。アンタたちのことは絶対、許さないから!」
私は勢い任せにまくし立てた。
対する志田は、なんだか間抜けな顔でこっちを見ていた。
「あれ? 昨日のあれって、そういう事情じゃなかったの? だってキミさ、すんげー脅えてたし。レイプにでもあったのかな~、て思ったんだけど。まぁ、確かに演出過多ってゆうか、ん、まぁオレも主人公気取っちゃったかもしれないけど。え? キミに刺されたことバレるとオレ、停学になるの? なんで?」
……何言ってんだこいつ。