無意確認生命体
「うん。それだったらしょうがねーよ。悪かった。じゃ、この腕のことはもういい。じゃあな。もう襲われんなよ、近江雌舞希」
なんだか勝手にひとり話し続け、納得して立ち去ろうとする志田。
そんな彼のその態度は嘘をついているにしてはあまりにあっけらかんとしすぎていた。
話にも筋が通っていた。
どうやら、この件に関して、彼は本当に無関係だったらしい。
とその時、今更ながらに気付いて、疑問をそのまま口にした。
「――あれ? そういえば、なんで私の名前……」
私が呆然と呟いた言葉に志田はくるっと振り返り、ちょっと不機嫌そうに、
「あー、そうだった。先に落ちてきた椅子。オレの花壇踏みつぶしたアレに書いてあった。キミも、花壇つぶしたよな。で、それ問いただそうと、……ってゆうか、心配して声掛けたんだぞ? いちおう。そしたら、……コレだもんな」
と、左手を上げて私に見せつけるように振ってみせた。
あの花壇は彼が世話していたらしい。
「さすがにオレでも覚えるよ」
……う。あ……ああぁ……。