無意確認生命体

聞いての通り、おじぃが病院へ行くのはお見舞いのためだ。

おじぃの体のどこかが悪いわけじゃない。

毎月、末の金曜日が病院の面会日になっている。

で、その見舞う相手というのが……、その、まぁ色々あって、私があんまり話題に出したくないような人物なワケで……。



それから朝食を済ませ、洗い物をおばぁに任せて学校へ行く。

時刻は7時50分。

家から高校までは、徒歩で30分ぐらいかかる。

だからこのくらいの時間には家を出なくては8時半の始業ベルに間に合わなくなってしまう。

ちなみに、うちから高校まではほとんど下り坂の一本道なので、自転車なら10分かからないらしい。

自転車通学は許可されているし、うちにだっておじぃが使ってる自転車はある。

なら、どうして私は歩いて登校するのか。

理由はひとつ。



……恥ずかしいことに、私は16歳にして自転車に乗れないのだった。

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