無意確認生命体
――さらに私は爆撃を続ける。
「大人しくしていてくれるのなら、私は誰にも本当のことは言わないわ。人間だものね。動物じゃないんだから、これでわかってくれるかしら?」
柏木は相変わらず事態を飲み込めないといった表情。
「そう。ん~、手っ取り早く言ってあげると……」
うわ! 気持ち悪っ私! 小首なんてかしげてるよ!
でも、それもここまで。
それまで笑顔だった私は、そこで顔面から一切の感情を殺し、一番こいつらに伝えたかったことを告げる――。
「次が無いのはアンタたち。私はもうアンタのことは人間としてさえ見ない。また襲うんならそれでもいいよ。私は不思議そうにも思わないし、躊躇もしない。山で熊に襲われたのと、何の違いも見いださない。ただ、しつける努力はするよ。今のこれもそう。意味がわかる? わからない? わからなければ、ただこれだけ守りなさい。"大人しくしていること"。他の連中にも伝えておきなさい。いい? もう一度言うよ。――次は、無いから」
私は柏木の両眼を射抜いて放さない。
柏木にもはや、刃向かう余裕など残されていなかった。
さっき、美智に詰問された時なんかと比べても比較にならないほど、完全に崩落していた。
そこで私は表情を崩す。
そして、
「だから、安心していいよ。昨日の事件は解決した。楽しい高校生活を再開するといいわ」
柏木に巻いた首輪に錠をかけた。
それを確信する。
私は内心ニンマリ、外面にっこりのまま彼を解放し、くるりと踵を返し教室前方に向き直る。
そして、後ろから「――ごくり」と生唾を飲み下す音が聞こえると、私はこみ上げる笑いをこらえるのが大変だった。