無意確認生命体
「だったら自分のクラスの奴に頼め! わざわざ隣のクラスまで来るな!」
「そうは言ってもな~、同じクラスの奴、あんまし名前覚えてないし。男友達に食わせてもらうのは寂しいだろ。あ~ん、とかするんだぞ。男同士で」
「いいじゃん! 絵になるじゃん! それやってこいよ! 写メ撮ってやる! そんで記念にしろよ!」
「それだったら、この怪我の原因でもある、近江雌舞希に頼ろうと思って。珍しいよ? オレがヒトの名前で漢字まで覚えてるの」
どっちも言いたいことズバズバ続けざまに喋ってるだけで、会話として成立してない。
「てゆうか、さっきから言ってるけど、その怪我、しぶちんが付けたってなに? アンタ、なにしたの? しぶちんに、何した!」
あ、美智がさっきまでとは違う、マジ怒りオーラを放出し始めた。
これはまずい。
「へ? あぁツジは知らなかったか。なんか何気に会話成立してたし気付かなかった。あ~、うーん……」
志田は私に話していいか? みたいな視線を向ける。
もちろん美智に事の真相を知られるのはゴメンだ。
私は首を横に振った。
「ん、本人が話しちゃ駄目だって」
…………。
直球野郎だ。
ストレートすぎる。
「はぁ!? こいつ! なんか弱み握ってんなぁ! オラッ! それ以上近づいたら殴るぞ!」
美智は完全に火が点いた。