無意確認生命体
そして今に至る。
美智は何故かここで志田の名前を出したのだった。
「え、え? なんで志田?」
「だって、アンタが男にあんなに気安いの、初めて見たもん。信頼できる奴なんでしょ? 女が駄目なら、せめて一番信頼できる男の近くで待ってた方が安全じゃん。あたしが今日話してみた感じでも、悪い奴じゃなさそうだったし」
意外だった。
何が意外って、私がそんなに彼に対して油断を見せていたということが。
それも、美智に言われる今まで自分で気付いてさえいなかった。
それ程に彼に油断を見せていたことが、今更私の背筋を凍らせる。
そんな私の心情なんて知るはずもない美智は続けて言った。
「そうか、職員室で待つって手もあるな。うーん、それが一番安全そうだけど、待つにはつらいかなぁ。ね、どっちがいい?」
そう訊かれて私は何故か、
「……り、両方」
なんて答えてしまっていた。