無意確認生命体
「は? なんだそりゃ」

と答えるのは志田由高。

当然だ。

放課後突然やって来た、今日初めて会った奴に、


「今から夕方まで、しぶちんと一緒にいてあげて!」


なんて言われてしまったのだから。

詳しい事情を私から説明すると、彼は比較的すぐに理解を示してくれた。

……まぁ事件のほとんどを知っている人物だったので。

「でも、オレも一応園芸部なんだけど。オレしか真面目に花壇の面倒見るような奴、いないし」

あ~、そういや、そうだった。



うちの学校は基本的に部活無所属(いわゆる帰宅部)が許されていない。

かと言って、全ての生徒に何らかの部活動をしろと言ったって無理な話だ。

家の事情(私なんかはこれだが)だとか、アルバイト、単に部活に入りたくない生徒。

理由は色々あるが、そう言った生徒は、一応全員便宜上だけ「園芸部所属」ということにされるのだ。

……だから私も一応、園芸部員だった。

あくまで便宜上の話で、方便のようなものだけれど。



「なにバカ言ってんの! 木や花や野菜は一日ぐらい水やらなくても死なないだろ! でもしぶちんは今日襲われちゃったら、もう立ち直れなくなるかもしれないんだよ? アンタ! この子の命が花一日分の水より劣るっての!」

……美智の言い方は大袈裟すぎる。

これではよほどの人でなしでないかぎり断りきれないだろう。


……こわい。美智は敵に回してはいけない。

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