無意確認生命体
一日目。
私は美智が部活を終えるまでの間、志田と職員室で待たされた。
問題は二日目以降だ。
さすがに二日続けて志田に警護してもらうのは悪い。
彼も部活があったのに前日は無理を言って頼み込んだのだから。ならどうするか。美智は何やら考え込んでいた。
私は、
「さすがに一週間職員室でずっと待ってるのはやだよ。それに、帰りが遅いとおばぁたちが心配する」
と美智に言った。
こう言えば、せめて放課後はまっすぐ帰らせてもらえると思ったからだ。
しかし美智は諦めなかった。
ここ一番! とばかりに無駄に打開策を発案してくれた。
「これ!」
私の目の前に『ジャーン!』と紙切れを突きつける美智。
その紙切れにはこう書かれていた。
『仮入部届』
「いや~! 盲点だったよ! 灯台もと暗しってヤツだね。何もわざわざ待たせておくことないじゃん! 一緒にいれば一番安全なんだし!」
有無も是非も賛否も何もなかった。
うるさい黙れ!
私テニスなんてしたことないんだぞ!
しかもアンタと違って運動はへっぽこもいいところなんだ!
3時間も4時間も毎日動き回ったら死んじゃうよ!
私のあらゆる悲痛な叫びは全て華麗にスルーされ、即日中に仮入部は成立させられた。
というわけで、私は何故だか一週間限定で、テニス(仮)部員とされてしまったのだ。
あんまりにも強制的に。