無意確認生命体
「……ん。これ飲む?」
志田はさっきのバケツの中から、昼に彼が飲んでいたのと同じ種類のスポーツ飲料を取りだして、私によこして見せた。
――一応断っておくと、もちろん飲み差しというわけではない。
新しいやつだ。
「え? いや、いいよ。志田が買ってきたんでしょ? 自分で飲みなよ。私、そんなに動いてないし。アンタの方が疲れてるでしょ」
「ん、いや。オレは全然。雌舞希の方が汗だくじゃん。ん、まー、慣れないことやるのって疲れるもんな。ほれ、遠慮すんな。それで帰りに倒れたりなんかしたら、また襲われんぞ?」
そう言って志田は、ペットボトルを私の方へ放ってきた。
「わ! うわっ!」
私は四苦八苦しながら、なんとかそれを受け止める。
「あほ! いきなり投げるな! 落としたら勿体ないでしょうが!」
「あはは!大丈夫だって。それペットボトルだし」
私は「ふぅ……」と溜息をつき、
「そうだね。もう襲われるのはゴメンだし。もらう。ありがとう」
と言って、ペットボトルの栓を回した。