無意確認生命体
「あ、あれ? あれは違うの。美智の勘違い。連休前の昼休みに私、柏木くんと一緒にお昼食べてたの、知ってる?」
「あ~! うん、知ってる。辻ちゃんが私らといっしょに食べてた日だよね? なんか、占いがどうのって騒いでた!」
う~ん。今思えば、ある意味あの占いは当たったと言えるのか?
『生涯忘れられない思い出』を刻んでくれた相手なわけだし。
……ちょっと違った意味で、だけど。
「それで、あの日教室荒れてたでしょ?」
「あ、うんうん! あれはびっくりした。そう言えば、近江さんの椅子だっけ? 花壇に落とされてたのって。……あ。もしかして、それで?」
「うん。そうみたい」
「あ~、なるほどねぇ。へぇ、さすが辻ちゃん。すごいね発想が。そのふたつ結びつけちゃったんだ。でもそういうトコ、辻ちゃんらしいっちゃあらしいかも。くくく。いや~、近江さん、愛されちゃってるんだねぇ? いろんな意味で」
「あはははは! それ、美智が聞いたら、今度は浅瀬さんが締め上げられちゃうよ?」
「うぁ。それは怖いなぁ。だって、あの時の辻ちゃん、端から見てるだけでも震えきたもん!」
と、その時。
「あっれ~? しぶちんとハルミ? 何このレアな組み合わせ。これはどこの竜宮城?」
噂をすれば影が差すとはよく言ったものだ。
トイレかなにかにでも行っていたのか、さっきまでクラスにいなかった美智が、どう考えても狙ったとしか思えないタイミングで戻ってきて、私たちを見るなりわけのわからないことを言いながら寄ってきた。