無意確認生命体
私と志田が知りあったのは、5月の連休明けだから、実際まだ半月ほどしか経っていない。
「あー、それは……。私の第一印象が相当強烈だったから覚えられたんだって。知り合ったのもその頃だよ。五月のあたま」
というか、その「初めてお昼にうちのクラスへ来た時」こそが知りあった当日である。
あいつが私の名前を覚えた本当の理由は……さすがに「ガラスを刺したから」とは言えない……。
「へー。アイツが初対面で覚えられるぐらいのインパクトって言ったら、『出会い頭にハンマーで頭ぶっ叩く』ぐらいしないと駄目だと思ってた」
……ごめんなさい。当たらずとも遠からずです。
私が苦笑いしているのには気付かず、浅瀬さんは話を進めた。
「んまぁ、それはともかく。それくらいアイツって、他人に対して無頓着なんだよ。だから、あんまし友達もいないわけ。でさ、近江さん。私がこんなこと頼むのは、変って思うかもしれないけど。――アイツとは、なるだけ仲良くしてやってよ」