無意確認生命体
志田から聞いた話と違っていた。
彼女は全然、志田のことを嫌ってなんかいなかった。
それどころか、こんなにも気遣っていた。
それを私に告げる。
兄妹揃っておんなじ言葉。
おんなじ表情で。
でも、それならばこそ、何故?
私はあの日と同じように、思ったことをそのまま口にした。
「どうして、貴女が直接、あいつと話をしないの?」
「へ?」
「だから、浅瀬さん、志田のことが心配なんでしょ? 友達とか、つくれない奴だからって。貴女が一番あいつのこと、わかってるし気遣ってるよ! なのに、どうして他の人にそれを任せようとするの?」
すると、またも兄とおんなじ、バツの悪そうな表情をして――
「あははは。それはね、……うーん。――私、アイツにゃ嫌われてるからさ」
――やっぱり同じ事を口にした。