無意確認生命体
その日の放課後、つまり今、私はこのことをさりげなく、隣で作業中の志田に伝えようとしたのだ。
浅瀬さんは志田のことを「古い知り合い」と、濁した言い方をした。
だから彼女には、あれ以上の言及が出来なかった。
まぁ、普通はあんな混みいった家庭の事情を他人にペラペラ喋ったりしない。
志田の方が変なんだ。
でもま、それはともかく、聞いてしまったからには、この互いに誤解しあっているだけっぽい馬鹿らしい状況をこいつに伝えようとしてみたのだ。