無意確認生命体
だが、志田は特に驚くでもなく、こんなふうに答えた。
「ん? あー。そうだろうな。アイツはそう思ってると思う」
「思ってると思う? なにそれ」
「ん? 言ったとおりだよ。ハルミはオレのこと、嫌わないでいようとしてくれてるってコト」
「意味わかんない。そんなんじゃなかったよ! 浅瀬さん、本気で志田のこと心配してるって感じだった」
「んー。雌舞希。それって、嫌ってない理由にならないって、わかる?」
「え?」
「んー。説明しにくいけど、……そうだな。じゃあ、例えば。例えば、だぞ? 雌舞希は、ツジが死んだら悲しいよな?」
「は? 当たり前でしょ! いきなり縁起でもないこと言わないでよ!」
「うん、そうだ。それで当然だよな。――じゃあさ、今度は道ばたで、猫が車に轢き殺されてるのを見つけたら、どう思う?」
「……それだって悲しいよ。お墓つくって埋めてあげるぐらいなら、してあげたいって思う」
それを聞いた志田は作業中の手を止め、こっちを向いて、にやっと笑った。
「だろ? それとおんなじ。情があるんなら、心配くらいするってこと。好きとか嫌いは別問題」
私はハッとさせられる。