無意確認生命体
学校について自分の席に座り、うな垂れる。
すると誰かに『ズバシィッ!』っと背中を叩かれる。
もう、それだけでそいつが誰だか見当がついたが、続けざまに、
「ぅおっはよーうさん! しぶしぶちんちん!」
かなりきわどいアレンジを加えたニックネームで声を掛けてくる朝からテンション高めの元気な声。
声の主はもちろん美智だ。
「……おはよ。美智」
つっこむ気力もなく、力なく返答する私。
「ん? あれ、しぶちん、顔色が……。あ! もしかして……。ごめん! そういやアンタ、今月まだみたいだったね……。ミスった。だいじょぶだった?」
「ん~……。だいじょぶじゃない。いたく傷付いた。だから、今日はお昼ちょっとわけて」
私は慎ましやかな報酬を要求した。
「うわっ! 代償高いな、オイ! 運動部員から昼奪うなんて! 非常!」
それでもこいつぁ拒否を示した。
「うるさい。購買行くのしんどいの。それぐらい気を使ってしかるべき」
「そ、そんな! お慈悲!」
「う、ううう……。美智、声大きい……。お腹に響く。もういいから、せめてそれ潜めて」
「うげ! マジですか? ホントひどいなアンタのは」
「うん……。なるだけ、動きたくない。言っとくけど、さっきのお昼もこっちはマジだから」
それを聞いて何やら美智はピーンと来た! って感じで、人差し指を天に突きつけ、
「く! しぶちんの危機とあれば仕方ない。ならば昼時になれば現れる、便利なヤツを使う他なかろうよ」
ニヤリと微笑む悪魔と化した。