無意確認生命体
「でも、ホント大丈夫か雌舞希? なんか、血の気がないっつうか、真っ青っつうか。なんで休まなかったんだ? 熱もあるかも知れんぞ」
「うん。まぁ、平気だよ」
……毎月のことだし。
「でも5限目の体育の時間は、ちょっと保健室行って休ませてもらおうと思ってる」
「ん、それがいい。無理すんな? 今日は授業終わったらまっすぐ帰れよ?」
「……そうだね。駄目そうだったらすぐ帰る」
「おんやおやおや~? 随分としぶちん様のご心配をなさいますねぇ。志田の旦那~」
誰だお前は。
「ん? 心配したら変か?」
「いえいえ滅相もない! あたくしゃ~少しも変だぁなんて思いませんよ? むしろ、今まで無関心だったのが不思議なぐらいでござんすからして?」
だから美智、それは誰口調なんだ。
「普通心配しないか? ――なー、オレってそこまで変な奴?」
私に確認してくる志田。
ある程度変な奴という自覚があったのは意外だ。
「さぁ。変なのは確かだろうけど」
私は適当に返事をしておく。
「そうか? 仲良い奴が病気んなったら、オレは心配だけどなー。ツジは心配じゃないの? オレはツジが倒れたら、ちゃんと面倒見てやるぞ?」
「あが!?」
志田の発言を聞き、奇声と共にエセ悪代官から石像へと変貌を遂げる美智。
そして、すぐにその石像は、顔から耳まで真っ赤に染まり、
「こ、こ、こ、こンの! フタマタ野郎があーーーーーッ!」
さらに獅子へと変貌し、吠えた。
事態を飲み込めていないお馬鹿天然志田少年と、すっかり威嚇モードに入ってしまった全身逆鱗娘美智嬢。
どうやら私の仲裁なしにはこの場は収まりそうにないようだ。
こっちはホントにしんどいってのに……。
あー、くそー。
勘弁してよ。もう……。