無意確認生命体

「……えーっと。すっごいわがままで、わたくし的なコトだから、あんまり言いたくないんだけど……。今日、あんまり好きじゃない親戚が、家に集まるんだ。それで、その人たち、夕方までいるみたいだから、それまで家に帰りたくない……の。……だから、部活終わってから帰るようにしようって思った。……あ、あはははは。実際こうやって口にしてみるとほんとわがままだな私。……ごめん。自己中な理由で。ここで倒れたりしたら、アンタにまで迷惑掛かるって言うのに……」


口にしてみて気が付いた。


そうじゃん。

倒れたりしちゃったら、こいつは私を放っておくはずない。

……馬鹿。本当に、なんて自己中心的な考えでいたんだろう……。


――いいや。もう帰ろう。

あの人たちに会って、哀れみのこもった『おこづかい』をもらって、それで、中身のない親愛を浴びるのを、耐えよう。


「ふぅん。わかった。じゃ、見学してな」


…………。


はい?

「へ? い、いいの?」

諦めて……、というかもう半分帰る気でいた私は、志田のその返答に、完全に不意を突かれてしまった。

「うん、納得した。雌舞希が嫌いになるような奴は、よっぽどヤな奴に違いない。だったら、わざわざ会いに行かせるようなマネは、オレには出来んさ。いい。花壇のフチに座って見てな。ただし、見てるだけな。もし倒れたら保健室まで背負ってってやるから、安心していいぞ? ――あ。そういやキミ、男が恐いんだったな。うーん。……よし! 倒れたときはテニス部のツジを呼んできてやる。あいつなら筋力ありそうだもんな。これで万全だ。安心してぶっ倒れろ」

ビシッと右手の親指を立ててみせる志田。

私はポカンとその突きつけられた指を眺める。


――あぁもう、すっかり慣れたと思ってたけど、やっぱり私の頭に、この言葉が過ぎる……。



"何言ってんだろう。こいつは"

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