盗撮教師日記
個人名簿をいくら探しても見つからなかった。

結局私は、一睡もしないで朝を迎えてしまった。

朝食を食べ、眠気を覚ますためにコーヒーを3杯飲んだ。

だが、胃がムカムカしてきた。

このとき、改めてコーヒーは何杯も飲むものじゃないと感じた瞬間だった。

今日は、土曜日だが部活の練習があるため学校に行った。

すると、職員室の前に天海が座っていた。

「先生……話があるんですけど」

彼女は、なきそうな声で言った。

私達は、学習相談室に向かった。

彼女は、もう全てを失ったかのようにとても落ち込んでいる様子だった。

「で、話とは……?」

私は、少し声のトーンをいつもより少し上げた。

「私……留学するかもしれないんです」

「留学……でも、どうしてそんなに悲しむの?勉強はいい子とよ」

「わ……私ッ!裕君と離れるのがイヤなんです」

彼女の目に涙がたまっていた。

「泣きたい時は、思う存分なきなさい」

私は、やさしい先生を演じた。

彼女の背中を優しくさすった。

「裕君は、もう私のことなんてどうでもいいって思ってるんです。でも、私は……裕君のことが好きなのに。そのことを誰にもいえなくて」

彼女は、泣いてあまり何を言っているかわからなかった。

「裕君には、彼女がいるんです。でも、そのこに私と幼なじみってことを言ってないんです。だから、もう関わりがないんです。裕君と離れたくないんです」

やっと、謎が解けた。

中野と天海の関係は、小さいときからの幼なじみだったんだ。

でも、頼みごとを二人にしても会話はなく、黙々と作業しているだけだった。

だから、誰も彼女らの関係を問わなかった。

大人しい彼女に男子に関係のある人がいる自体で驚きだ。

「わかるわよ。その気持ち。私もねー中学のとき幼なじみがいてね……」

私は、嘘の思い出話をした。

すると、彼女は安心したのか笑顔になった。
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