盗撮教師日記
私は、2時間ずっと放心状態のまま床に座り込んでいた。

頬に涙がそっと流れているのが感じられた。

どうして涙が流れるのだろう……

私は、疑問に思う。

ガラガラッ

教室のドアが開き学年主任の黒川先生が私のところにやってきた。

「山岸先生!!しっかりしてください!!生徒達はどこに行ったんですか?」

「分かりません」

「なんていうことですか……」

その後の記憶は全くない。

黒川先生の話によるとその後に意識を失って倒れこんだみたい。

私は、生徒達のことをそっと見守っているつもりはない。

見守るというより生徒達にただ受験に必要なことだけを教えればいいという考えなのだ。

母が他界するまではそうだった。

しかし、母が居なくなってから生徒達について急に興味が湧き出し個人情報を調べ上げる考えが出てしまった。

その母が他界したくらいに森本をいじめた。

教師が生徒をいじめるというのは、あってはならないこと。

だから、私は1度教育委員会に追放され1年7ヶ月間教育委員会でもう1度教師とは何かという講習見たいのを行いその間は教師という立場から離れた。

その後にこの学校に転任してきたのだ。

私は、生徒が戻ってこないことを確認して家に帰った。

家に帰ると自分の過去がフラッシュバックのように頭の中に連想されて涙が流れてきた。

最後に見た母の笑顔。

家族から見放されたときの皆の反応。

孤立してきたこと。

森本をいじめてきたときの森本の涙。

父親らしい涙を流した森本先生の涙。

生徒達の泣いた顔。

2年1組の生徒は私に笑顔を見せた記憶がない。

私は、カップラーメンを食べてPCを開いた。

やはり、メールは……今日は、珍しく1件だけ入っていた。

見てみると、ただの迷惑メールだった。

私にメールをくれる人なんてどっかの詐欺師しかいないみたいだ。

詐欺師――

私は、もしかして詐欺師??

盗撮をするのは、犯罪だけど……

そんなことを考えながらブログを開いた。
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