盗撮教師日記
一歩一歩生徒達が教育委員会に近づいている頃山岸浩子はあわてていた。

あの子達……

もしかして、教育委員会に言ったんじゃ――

たちまち不安が出てくる。

「どうするんですか!?先生」

ハゲ親父がブツクサと文句を言いながら言った。

「あーだこーだ考えているじゃないですよ。生徒達ッもしかしたら……教育委員会に言ってるかも……」

私は、ついボソッとつぶやいた。

ハゲ親父は、眉間にしわをよせながらコーヒーを飲んだ。

「そうですか……まぁあなたなら訴えられることはないでしょう」

ハゲ親父がそういうと職員室内が静まり返り、先生方は皆私の方を冷たい目線で見る。

私は、その状況をただ飲み込むことしか出来なかった。

2年1組の生徒たちのことは、気になるが……

私には、この後授業が残っている。

2年1組の生徒のことを頭に残しながら、授業をスタートさせた。

私が、理科室に着く前まで理科室はとても騒がしかった。

「ねぇー1組山岸の授業ボイコットしたらしいぜ」

2年3組の中心的グループにいる須賀が、大声でみんなにそういった。

「マジデー?」

「つーか、ボイコットとかどんだけぇー」

「ありえねー。でも、面白そうじゃね?」

そんな言葉が飛ぶかう。

私は、その状況を知らないというフリをして理科室に入った。

理科室に入ると室内は静まり返った。

「しらけたじゃん」

誰かが、ボソッとそうつぶやいた。

「WK」

だれかが、ノートにそう書いたと思われるえんぴつの音が聞こえた。

しらけただろうが、WKだか知らないけど……

授業は授業。遊びは遊び。そう分けて欲しい。

私は、知らないフリをして授業を始めた。


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