盗撮教師日記
コンコンッ

静かな館内に響き渡るノックの音が妙に不気味に聞こえた。

「失礼します」

光が、部屋に入ると教育委員会の人たちが生徒達の方を見た。

「君たち何だね」

中年太りで、いかにもお偉いさんという顔の人がキツイ言い方で話しかけた。

「僕達は、八木教育委員会委員長さんにお話があってきました」

光は、いつもと変らず冷静な表情で言った。

「うん?君たち、私に何か用かね」

八木教育委員会委員長をみると、髪一体が白髪でいかにも苦労したというのが目に見えている。

「蜂窩市立條河中学校2年1組担任山岸洋子という教師を教師という立場からはずしてください」

光は、八木さんの目をしっかり見て言った。

小さい頃によく親に言われたことを覚えていたのだ。

人に自分の思いを伝えたいときは、人の目をしっかり見ること。

相手の目を見ればイカに真剣さが分かる――

だから、しっかり相手の目を見ていたのだった。

「君たち、何を言っているかわかってるかね?」

最初に話しかけてきたおじさんが再び話しに入ってきた。

「はい。分かっています。山岸先生は、僕達を邪魔者のように扱っています。山岸先生は、ひいきをし自分にイイように物事を進めています。先日、ある1人の生徒が山岸先生の所為で殺されかけました」

そういうと、会議室内はざわついた。

「ちょっと待ってくれ、そのような報告は出ていないはずだが……」

「学校側が、隠したんです。僕達の学校は、学校選択制の範囲の中に入っているため評判が悪いと敷地内に住んでいる生徒や親は別の学校に行ってしまい、生徒の人数を減少してしまいます。それを防ぐために先日の事件のことを隠したと思います」

光と水嶋以外の生徒達は、光の言ったことに対して意味が分かっていなかった。

学校選択性という意味が分からずにいたのだった。



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