盗撮教師日記
「山岸先生お客様がお見えです」

事務の人が、私を呼び応接室へ向った。

応接室に入ると、そこには條河中学校父兄の会会長緑川みのりが座っていた。

緑川さんは、気がついたのか席を立ち軽くお辞儀をし、むらさきの縁のメガネを軽くあげた。

「山岸先生。今日は、ゆっくりと先生と話したいと思い先生に会いに来ました」

緑川さんは、笑顔で言うと私も笑顔で対応した。

笑顔と言っても作り笑いだが……

「単刀直入に言わせてももらいますが、山岸先生の教育方針は、間違っていると思います。娘は、毎日山岸先生に怒られて……山岸先生に出会う前までは何も文句を言わず楽しそうに学校に言ってました。しかし、山岸先生が担任になってから、『学校行きたくない』と言い出したのです。私は、最初ただのずる休みしたいのかと思い強引に学校に行かせました。しかし、周りのお母様方の話を聞くとどのお宅の子供さんも学校に行きたくないと言っているようです。前任校で、問題を起してこの学校にいらっしゃったのでしょ?それだったら、再び問題を起こらないようにと心がけましたか?自分の性格を直したりしましたか?先生が、そんな風だから今時の仔は学校に行きたくないといってしまうのです」

緑川さんは、いっきに言った所為かメガネを再び上げ軽く深呼吸をしていた。

私は、ここまで単刀直入に言われると返す言葉がなくなってしまった。

「そうですか……しかし、私の教育方針は間違っていないと思います。生徒達が、悪いことをしたから注意しただけです」

私は、表情1つ変えずに言ったことに腹を立てたのか持っていた高級なバックを落としてメガネを吊り上げた。

「間違ってない!?ウチの娘……花凛は、山岸先生が来なかったらもしかしたらあんなにも苦しまずに学校に行けたに違いありません」

そういうと、緑川さんは応接室から出て行き校長室へと向った。
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