盗撮教師日記
「光くん、本当に性格変ったわね。でも、驚いたわ。あなたがこんなにも仲間のことクラスのことを真剣に考えているなんて。まぁ、仕方ないでしょう。2度もこんな教師に会うなんて」

そういうと、彼の表情が急に変った。

それは、暗く恐怖を味わった顔だ。

「そう、君は小学校のとき……私みたいに生徒に感情を持たない担任だったそうじゃない。そのときは、あなた明るかったわよね?そして、先生に反発した。でも、あなたは……先生に自分のできないこと、嫌なこと全てクラスみんなにバラされた。そう、あなたはプライドが高かったの。その所為で、一度だけイジメを経験している。だから、明るい性格から冷静な性格。いや、人間不信に一度はなったんじゃないの?」

彼は、コクリと首を縦に振った。

「でも、もう僕は昔の僕じゃない。変ったんだ、あのクラスになって。みんなが、僕を信用している。僕がいなければあのクラスは……」

――パシンッ

私は、彼の頬を平手打ちした。

彼は、驚いた顔をしていた。

「甘いこといってんじゃないわよ。人間ね、そんな簡単に自分に味方がつくもんじゃないのよ!!あなたは、まだ人生経験がない。そんな簡単に、仲間を意識しすぎない方がいいわ。そうすると、私みたいな人生を送るようになるわよ」

そういうと、私は彼の前から姿を消し、独り理科室へ向った。

私は、理科室から見える中庭を見てそっと静かにナミダを流した。

過去の自分を思い出してしまったのだ。

そして、彼を平手うちしたことに後悔している。

こんなの初めて。

いや、最近の私がおかしなだけだ。

あの記事が出されてから私は、本当の人間らしさを求めているのかもしれない。

石垣光は、もしかしたら本当の人間らしさというものを見つけたのかもしれない。

それは、分からないが事実として彼は友達と笑うようになった。

私は、彼に後でこう伝えようと決意した。

「さっきは、ごめんね」と。

私は、ナミダを吹いてイスから立ち上がり石垣光の元へと向った。

いや、石垣光の元ではない。

あのクラスの元へ向ったのかもしれない。

それは、自分でも分からない、

ただ、1ついえること。

それは、人間らしさを求めているということだ。

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