盗撮教師日記
光の目を気にしながらも話を続けた。

「みんなには、認められようとは思っていません。誰一人として私のことを先生と思わなくても。でも、1つだけ私のことを思ってほしい。それは、私が人間らしくなったことを。それだけは、忘れないでください」

そういって、私は黒板を消して教室を出て行った。

初めのあいさつで、こんな言葉言う教師はいるのだろうかと思いつつ職員室へと戻ろうとした。

その矢先に、あの生徒が声をかけてきた。

「先生?」

足跡ですぐわかった。

彼しかいないと。

「何ですか?光君」

私は、生徒と話しているとは思っていない。

彼とは、いつも人として会話している。

常に対等の立場として。

「先生は、自分では気づいてないようなので僕が先生の変わったところをいいます」

「なんですか?」

光は、ほほ笑んだ。

その姿は、まるで昔の幼馴染を見ているようだった。

「……それは、先生は人間らしさと言っているようですが……きっと先生は先生らしくなった。自分というものを持つようになって相手を思うという心ができたんです。先生のいいところがやっと見つけられた気がします」

そういって、光は再び微笑んで教室に戻った。

2009年4月6日。

新たな自分を見つけた。

そして、新しい仲間と出会った。

この日、私と彼ら3年1組のメンバーの心は一つとなり……

永遠に教師と生徒という立場が続いていくだろう。

そして、私はいつの日か人間らしくを求めるのでなく自分探しへと

向かっていったのだった






















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