キミの嫌いなところ
「その自信はどこから来るの?」
冷静になった私は家に戻り、ちょうど連絡をしてきた彼に、男と別れたことを告げると、図々しくも部屋に上がり込んできた。
「根拠は無いって言ったじゃん」
「何それ」
「あーでも、アレだよ、ほら」
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彼との始まりを思い出して、苛立った気持ちが少しだけ落ち着いた。
あの頃からあの真っ直ぐな瞳は変わらない。発言の、根拠の無さも。
“お前と付き合えたら俺が幸せだろ?そしたら、その幸せがお前に移る気がしない?”
なんだそれ、と笑ってしまった私の負けだった。
なるほど、それもありかな、なんて思ったのが全ての始まり。
なんだかんだそれから三年、なんとかやってきたのだ。
そこの角を曲がれば、あとは真っ直ぐ歩くだけ。
歩いて十分、というのは聞けば近いような気がするが、実際に歩いてみるとそこそこの距離だと毎回思う。
たぶん普段この駅を使わない私がここまで歩くのは、大体雨の人迎えがほとんどなので、少し偏見も入っているが。
せっかくお風呂に入ったのに、これじゃあ意味がない。
雨の匂いが髪に纒わり付くような気がするし、何より足はぐちゃぐちゃだ。