キミの嫌いなところ
この横断歩道を渡れば駅だ。
きっとあそこに立っているのがそうだ。顔は見えないけど、きっと偉そうに、待ちくたびれたような顔をしているのだろう。
「ありがと」
駅に着けば、彼が待ちわびたように手を差し伸べた。
ひとまずそれを無視して、文句だ。
「なんでいつも傘持っていかないのよ」
「ん?そうだっけ」
「とぼけないでよ、毎回濡れて大変なんだから」
その言葉に、彼が笑った。
笑うところじゃないんだけど。
「何が可笑しいの」
「いやー、なんでもない」
「何よ」
また腹が立ってきた。
せっかく迎えにきてあげたのに、何この態度。もう二度と来てやるか、と思ったところだった。
「もう、ほんとね、可愛い」