キミの嫌いなところ


気付いてる?

お前ね、迎えに来てくれる時、絶対傘一本しか持ってこないの。

いい大人が相合傘なんてさ、狭いし濡れるだろ?

もう一本持ってこればいいのにさ。


あー、俺とくっついて歩くの、嫌いじゃないんだなって。

毎回思うんだよ。











顔が火照って、治まらない。



「そんなの、無意識だよ」

「無意識だとしたら、余計に可愛い」

「……何それ」

「だからいっつも迎えにきてもらうの」



わかった?って、なんでそんなに自慢気なのよ。

そんな悪態を付きたかったけど、言えなかった。

また私の負け。



何故か帰り道は、長かったはずの十分の道のりが短く感じることにいつも不思議だった。

今日、なんとなく理由がわかった気がする。認めたくないけど。




酔うとすぐ気が大きくなるところ。


どれだけ言っても靴下を裏返しに脱ぐところ。


私との約束を簡単に破って仕事に没頭するところ。


自分が眠たい時は返事が全部適当になるところ。


嫌なところなんて、挙げだしたらキリがない。




「俺の幸せ、少しは移ってきた?」




だけど、そんなのどうでも良くなる瞬間が。


たまらなく愛おしい。



「もう、幸せすぎて、溺れそうだよ」




彼が嬉しそうに笑った。



こんな感じで、たぶん、これからも。


幸せを分け合いながら、やっていくのだろう。




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