海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
「うん?どうした?」


私の話に耳を傾けている相葉先生には聞こえないように、小さく深呼吸をしてから、


「先生、ディズニーランドでパレードを見ていた時の事なんだけど…。」

と、私はずっと聞きたかった質問を切り出した。


「…」


相葉先生は、じっと私の言葉の続きを待っていて、そんな先生の様子から、


『もし、あの時の告白自体が聞こえていなかったらどうしよう。』

という、最悪のパターンが脳裏を過ぎったけれど、


『もう、引き返さない。』

と、先程までの“言いたい事を言えずに後悔していた自分”を思い返した。



「パレードを見ながら“好き”って言った事、覚えてる…?」

「…うん。」


爆発しそうな体を抱えて恐る恐る訊ねた私に、相葉先生はそう、ハッキリと答えた。


だけど先生は“うん”と言ったきり黙り込んでしまって、私はこの先どうやって話を進めようかと考えている内に、どんどん動揺していく。


心臓がドキドキして、返ってくる言葉を聞くのが怖くて、頭の中がクラクラした。



「先生…ちゃんと分かってるの?」

もう一度、私がゆっくり問いかけると、


「…分かってるつもりだよ。」

そう、平然と相葉先生は答えた。


「じゃあ、先生はどう思ってるの…?」


余りにも普通に返事が返ってきたことで、本当に自分の想いが伝わっているのか、相葉先生に何がどう伝わったのか、

先生の考えている事がちっとも分からなくて、私は泣き出しそうになっていた。
< 102 / 446 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop